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電気自動車レースへの挑戦

ねらい

    近年、若者の製造業離れが深刻化していると報じられている。製造業は日本を支える産業でもあるので、この問題の解決は急務であると言える。今回の研究では、モノづくりの楽しさを教え、知識や技術・技能を向上させることをねらいとし、課外活動において電気自動車の設計・製作を行う。

11月に岐阜で行われる電気自動車競技会への出場を目標に、課外活動の中で必要な知識を指導し、生徒自身で車両を設計させることで、実際のモノづくりでの企画・設計を体験させる。製作過程では、各工程を通じて生徒の技能の向上を図っていく。また、先生方や先輩・後輩と協力して作業する中で、生徒に礼儀やマナーを身につけさせる。

 

年間スケジュール

4月 電気自動車競技に関する資料集め、企画・設計、1/10スケールモデルの製作

5月 フレーム1/1モデルの製作、設計図の完成、足周りの部品製作

6月 フレームの完成、ステアリングの製作(第21回Hondaエコノパワー競技鈴鹿大会参加)

7月 外装の型取り、モータ特性の勉強、フリーブロー成形機の試作、モータマウントの製作

8月 外装貼付け、アンダーカウルの完成、アッパーカウルの試作、電気配線の施工

9月 アンダーカウルに各パーツの取り付け・調整、アンダーカウルの塗装、試走

10月 アッパーカウルの完成、塗装、試走、アライメント調整

(第27回本田宗一郎杯Hondaエコノパワー燃費競技全国大会参加)

11月 2007Econo Power In GIFU大会参加、結果の考察

12月 来シーズンに向けての目標設定、工作機械の操作練習

 

電気自動車レースへの挑戦

本校での電気自動車の製作、競技への参加は初めてなので、インターネットなどで過去の大会の様子(図1)や、車 両の資料を集め、どのような競技、車両なのかを理解する。ある程度、どのようなものを作ればよいかを想像できるようになったところで、他のチームへ見学に行き、技術や実際の電気自動車を勉強した。 また、企画・設計を始めるにあたり、リーダーを2年生から選出した。2年生がメインで企画・設計を行い、それに対して3年生がアドバイスする。生徒自身が試行錯誤し設計した。机上で想像が付かないところは、実際に模型を製作することで確認した。(図2 電気自動車設計図)

  

    図1 過去の大会の様子           図2 電気自動車設計図

 

製作するに当たり、1年生にはカッターやヤスリを使用した部品製作にあたらせ、正確に、精密に、素早く作業するなど、モノづくりの基礎となる手仕上げ作業を行った。2・3年生は工作機械(図3〜6)の操作方法を習得しているので、毎回運転前に安全指導を行ったうえで部品製作に当たらせた。また、2・3年生が1年生に操作している場を見学させ、工作機械の運転方法や危険さを教えた。

 

  

       図3 旋盤                  図4 フライス盤

  

     図5 ボール盤                   図6 溶接機

 

実際に製作すると、たとえば、車両フレーム(図7)やアンダーカウル(図8)は、全長が2985mmあり、約30の部品から成り立っている。どこかで0.1mmでも狂えば、きれいに収まらず、形を作ることができない。車軸は、直径が12mmだが、その精度は約0.002mmまで求められる。すべての部品が精度よく作れないと、その部分が原因となり、どこかに不具合が生じる。完成してからも数回テストを行い、実際に使用できる性能の部品か確かめ、性能が悪ければ作り直していくことによって、よりレベルの高いモノづくりを行った。

 

  

       図7 車両フレーム              図8 アンダーカウル(塗装前)

 

11月4日に行われた2007Econo Power In GIFU大会では、バッテリ(図9)1つで、モータ(図10)を駆動させ、1時間で約20km走行し、高校生クラスでは47台中優勝、一般を含めた総合順位では52台中2位の成績をおさめることができた。(図11,12 走行中の電気自動車)また、大会中できるだけ多くのチームを見学し、記録を伸ばすために必要な技術情報を得た。多くのチームと交流することで、自分たちに足りないものを見直し、来シーズンに向けての技術開発、技能向上に熱意をみせた。

 

  

図9 バッテリ                   図10 モータ

  

   図11 走行中の電気自動車@        図12 走行中の電気自動車A

図13 新聞記事