第7回高校生ものづくりコンテスト(旋盤作業)全国大会出場までの取り組み

愛知県立刈谷工業高等学校

機械科

 はじめに

本校は、第3回大会の旋盤作業部門で全国優勝しており、近年は各校のものづくりへの取り組みが活発になり狭き門であったが、久々に全国大会出場の機会を得た。今大会の取り組みを報告する。

 選手選考

本校は機械・自動車科で一括募集のため、競技選手は機械科3年生を対象としている。12月に機械科2年生から希望者を募ったところ2人が名乗り出た。面接の結果「知と技の推進事業」に参加している生徒1人で進める事になり、早速1月から加工練習を開始した。

 要素作業

1月・2月は修学旅行・試験等行事が多く、また部活動にも考慮し、10日程で加工に必要な要素作業の加工練習をした。県大会の4尺旋盤はワシノ製のため、本校も同機を使用し、要素作業(外丸・中ぐり・面・テーパ・溝切り・おねじ)に取り組んだ。

 県大会へ向けての取り組み

3月から、大会課題製作に取り組んだ。切削工具・加工工程は前年度と同じとし、最初は工程を理解し、作業の「勘・コツ」を学び、習得度を高めることに重点を置いた。4月には、寸法の「ねらい値」を設定した。なぜならば荒削り時の熱で材料が膨張し、その状態で仕上げを行うので、熱の影響が避けられないのである。したがって常温で公差の中間値となるように、ミクロン単位で設定した。その後は、1時間50分の完成を目標に繰り返し作品製作に取り組んだ。

 愛知県大会(17名参加、上位2名+1名(東海大会開催県枠)が東海大会へ)

5月26日に豊川工業高校で開催された。目標は、「良い作品をつくること」とし、結果1時間56分で製作し、98点の2位で東海大会への出場を決めた。

 東海大会へ向けての取り組み

大会で用いられる6尺旋盤はワシノLEOである。本校の6尺旋盤はワシノ19Jであるが、まず6尺旋盤に慣れることからはじめた。また地元の企業に依頼し、19Kでの練習とLEOの操作確認をさせていただいた。今大会は、練習期間が短いこともあり加工手順の変更はせず、仕上げバイトのノーズRをR0.4からR0.2にし、硫黄分の多い切削油の変更にとどめ大会に臨んだ。

 東海大会(9名参加、上位2名+2名(全国大会開催県枠)が全国大会へ)

6月10日に名古屋高等技術専門校で開催された。静岡県の選手は、開催県枠で全国大会の出場が決定しているため、実質7名で全国大会出場権2枠を競った。目標は「良い作品をつくること」で、結果1時間58分で製作し、100点の4位(1,2位が静岡県)で全国大会への出場を決めた。

 全国大会へ向けての取り組み

東海大会優勝者の製作時間は、1時間15分であり、全国大会は100点で、製作時間の勝負になると判断した。そのため加工手順を縦送りハンドルで長さ出しに変更等の見直しを実施。また刃具は、向きバイトを省略、ねじ切りの荒削りバイトをハイスから55°のスローアウェイにするなど多くの変更を施し、9月末には1時間20分で製作できるようになった。その後、本校PTA役員からアドバイスを得る機会があり、回転数・送り速度の適正化、回転センタで押さない、ねじ切りバイトの1本化、テーパ角度調整時のダイヤルゲージ省略、仕上げテーパオスを中ぐりバイトで加工、面取りをサーメット使用など多くのアドバイスを戴き変更した。そして目標製作時間を50分に設定し特訓した結果、1時間以内で安定して製作できるようになった。

 全国大会(20名参加)

11月17日に静岡県にある沼津テクノカレッジで開催された。チャックは新品に交換されているなど、整備の行き届いた旋盤で大会に臨むことができた。目標は「優勝」で、結果1時間2分で製作したが、事前準備でのチップセッティングが思わしくなく、規定の表面性状が出せず、悔しさが残る87点の12位であった。

10 ものづくりコンテスト(旋盤作業)を振り返って

東海大会から全国大会まで夏休みを挟み5ヶ月の準備期間があった。この期間は作業時間短縮への取り組みにすべてを費やしたと言っても良い。まずは作業者のスピード向上である。技能五輪の選手の動作を学び、選手本人がかなりの努力を要し習得した。その他では作業工程および刃具の選定である。これは作品の品質を落とさずに、いかに選手の負担軽減できるかが大きな課題となったが、多くの方からのアドバイスを受け、総合的に向上させることができた。全国大会を通じて選手を始め、多くの方々と貴重な交流ができたことに感謝し、今後に生かしていきたい。