はじめに

本校で、使用している窯は電気炉・ガス窯・重油窯等で、薪窯は存在しませんでした。そこで窯の構造や焼成の基礎を学習できる薪を
 燃料とする窖窯あながま)の築窯に挑戦を試みました・・・・・。

モデルになる小型の窖窯を探すことから始めなければなりません。陶磁史クラブは戦後始められた古窯の発掘調査から参加し、たくさんの資料を
  所蔵しています。また瀬戸市周辺には中世の古窯跡が多く存在し、発掘による古窯調査が数多く進められたくさんの報告書が発刊されていま
  す。その中から条件に合いそうな窯を探した結果、瀬戸市の南東部の万博開催地に近い広久手地区にあり、11世紀後半に位置する広久手E谷
  窯に決定をしました。広久手E谷窯は昭和39年に、瀬戸市教育委員会によって発掘調査が行われています。窯の大きさは、全長約460p・幅約
  140pで、焚き口から煙出しに至る床の平均斜度は25°で、出土遺物には碗、皿、鉢、広口瓶等が出土しています。

平成14年に陶磁史クラブの活動として計画立案を行い、平成15年より築窯を開始しました。平成15年は陶磁史クラブと課題研究
 で基礎ブロック積を完成しました、同時期に本館の耐震工事がおこなわれていてセメント用の砂や、基礎ブロック内を埋め立てるのに
 必要だった土砂を、本館工事で出たコンクリート破砕等を戴いて完成できました。

平成16年は耐火煉瓦の築窯作業をクラブでおこない、床と壁の煉瓦積みをしました。この年は体育館の耐震工事がおこなわれていて
 廃材として板や垂木をたくさん戴けました。この廃材は焼成時の燃料になり、たいへん助かりました


平成17年はクラブと課題研究で残りの屋根部分の煉瓦積み、横壁補強の煉瓦積み、屋根の仕上げ、煙突の取り付けなどをして完成しました。

平成18年は2月に入りすぐ初窯を焼成しました、中学生の皆さんに体験入学してもらい、窯出しを体験してもらいました。初窯はたくさんの新聞社、
  NHKを始めその他の民放で紹介されました。窯の中の温度には多少差があったのですが最高温度は1300度を超えていました。初窯としては大成功
  でした。しかし窯本体からの放熱が多く、屋根に施したコンクリートに不具合が生じたため壁の断熱工事と屋根のコンクリートの代わりに土を施して対
  処しました。
  11月には中学生の皆さんの体験入学を行った時にロクロ等の体験実習の他に、窖窯その焼成体験をしてもらいました。窯の断熱効果も良くなりました

いよいよ作業課程を紹介しますよ・・・窖窯の作り方です。




コンクリートブロックを積んで基礎工事


地面に縦方向の鉄筋を埋設

型枠にコンクリートを流し込む

水平とレベルは測量機を使いました

一段目外周のブロック積み終了

間仕切の型枠を設置、レベルに注意

間仕切ブロックを基礎の上に設置

横鉄筋を入れ間仕切ブロック積み

1段目中に土砂と水を入れ固める

土砂が沈む間に外周の2段目を積む

2段目が終了3段目のブロック積み

縦鉄筋は継ぎ足してブロック積み

2段目の間仕切ブロックを積む

2段目終了、3段目の間仕切を積む

土砂とコンクリートの破砕を入れる

3段目終了、4段目を積む

ブロックの中央に穴を空け使用

土砂やコンクリート破砕を入れる

コーナーでは鉄筋をL字型に入れる

4段目が終了し、5段目へ

土砂を入れ5段目を積む

5段目が終了し、焚き口部分を増設

土砂を入れる前の状態

上段から破砕を入れる

破砕を入れた後、固めておく

上塗用のコンクリートを最後に塗る



    アーチ煉瓦の加工に苦労した耐火煉瓦積み

耐火煉瓦、TONO
SK32・34     

TONO、SK32・34Y1.Y2

正面より

床煉瓦貼りを終了し側面煉瓦を積む

右側より見た         横の出入口

右側出入口

左前方より

正面から見た床

 右前方より

 右側出入口

右側の上段側面

最上段の床

左側より見た上段

左側面

焚き口の左側面

屋根アーチの下地を合板で作る

正面より

左側より見た
  合板のアーチ

赤煉瓦で足下の
 土台部分を補強

左側から見た
  合板のアーチ

左側上段付近

右側出入口付近

右側出入口より

最上段の左側より

左側上段付近

次は2×4材で
補強

右前方より

右側出入口より

右側上段より

右側最上段より

左側最上段より

ベニヤ板で仕上げ

正面より

右前方より

右側出入口付近

右側上段より

最上段付近

左上段より

右側出入口付近

焚き口アーチ

側壁の上にアーチ煉瓦を積み始める

焚き口アーチの上に重ねて積む

焚き口の右側から見たアーチ煉瓦

焚き口の上に煉瓦を加工して積む

右側出入口に接する煉瓦を加工

煉瓦の長さを調整して切断加工

横出入口アーチ形に合わせて加工

焚き口上部アーチは逆反り形状

左上段側壁と最上段の煙り出し部分

煙り出し部分は円形から角形に変更

右側最上段より

焚き口アーチ

正面より

左側より

煙り出し部分

左側アーチ

横出入口付近

左側アーチ

色見穴

焚き口アーチ

正面アーチ

右側上段

横出入口付近

横出入口付近

右側上段

右側上段

焚き口アーチ

左側アーチ

アーチ煉瓦の組込

左前方より

焚き口アーチ左側

焚き口アーチ右側

右前方より

燃料にする廃材

右側アーチ

右前方より

右側上段

焚き口アーチ

右最上段

煙り出し部分

煙り出し内部

屋根アーチ

屋根アーチ

左前方より

屋根アーチ

屋根アーチ

色見穴

焚き口アーチ

最後に残った部分

アーチ完成

補強の赤煉瓦積み

前方より

左前方より
右前方より
左後方より

煙り出し部分

煙り出し部分

右後方より

右側煙り出し部分

左後方より

左側面

左前方より

横出入口付近

右後方より

左後方より

左側面

左後方より

煙り出し部分

煙り出し部分

アーチに上塗り

右前方より

横出入口付近

右前方より

左前方より

右前方より

煙突取付部分

煙突取付部分

ダンパー

ダンパー

左後方より

右後方より

左後方より

左側色見穴

左側色見穴

左側上段

左側色見穴

左側色見穴

煙突

煙突

煙突

煙突

右側色見穴

煙り出し部分

右後方より

左側面

右前方より

横出入口を塞ぐ

耐火煉瓦使用

色見穴を塞ぐ

耐火煉瓦使用

下地の木材を焼却

焼却時の煙

焼却時の煙

下地の木材を焼却

焼却時の煙

下地の木材を焼却

下地の木材を焼却

下地の木材を焼却

木材の焼却を終了

窯内部

焚き口から奥を見る

焚き口から奥を見る

焼成室奥の壁


    
待ちに待った初窯を焚く
    

焼成前の作品

焼成前の作品

焼成前の作品

焼成前の作品

焼成前の作品

焼成前の作品

焼成前の作品

焼成前の作品

焼成前の作品

焼成前の作品

作品手前は分焔柱

作品手前は分焔柱

作品手前は分焔柱

焚き口の煉瓦組み

横出入口付近

焼成準備

焼成準備

焼成準備

焼成準備

焼成準備

火入れ

初めは焚き火程度

薪作り

焼成中の色見穴

焼成中の色見穴

焼成中の色見穴

焼成中の色見穴

焼成完了後の冷却

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

焼成した作品

上段のゼーゲルコーン
下段のゼーゲルコーン 
 下段のゼーゲルコーン  中段のゼーゲルコーン



    より良い窯に改造計画


正面から見た両側の赤煉瓦壁

左上段側の赤煉瓦壁

左後方より見た煙り出し部分
煙り出し後部の赤煉瓦が剥がれたため、土台ブロックを増設して煉瓦を横積みし補強しました
煙り出し部分

右上段側部分

横出入口付近

シャモット投入前

シャモット投入後

屋根上塗り用土

焚き口上部に上塗り完成

色見穴を囲むように上塗り完成

上塗りは数回重ねて完成

色見穴のフタを取ったところ

色見穴のフタをしたところ

改造の完成

改造した出入口



2回目の窖窯焼成・・・改造結果は・・・


焼成前の作品

作品の窯詰め

作品の窯詰め

焚き口の煉瓦組み

焼成中の焚き口

焼成中の焚き口

色見穴から出る炎

色見穴から出る炎

色見穴から出る炎

色見穴から出る炎

色見穴から出る炎

色見穴から出る炎

色見穴から出る炎
薪投入後の焚き口
薪投入後の焚き口

薪投入後の焚き口

色見穴から出る炎

色見穴から出る炎

窯から焼成品を出す

焼成された作品

焼成された作品

焼成された作品

焼成された作品

焼成された作品

焼成された作品

焼成された作品

ゼーゲルコーンと色見



いかがでしたか?

 計画から5年という長い期間をかけて初窯・第2回焼成、ようやくたどり着きました。陶磁史クラブ、課題研究の生徒等が率先して取り組んで
   くれました、窖窯自体は断熱効果、焼成方法、焚き口などの細かい各部分の改良など、まだまだ考えなくてはいけないところがたくさんありま
   すが、今回の焼成品を評価するなら、鎌倉時代の古窯の発掘の際に灰原(失敗品を捨てた場所)から出る大量の焼成品の残骸から比べて、
   窯の効率は同等もしくは多少勝っているように思われますが・・・・。
   この長いドラマを放送部が記録し、18年度NHK全国放送コンテストの愛知県代表に選ばれました。
   これからも生き生きとしたセラミック科と、楽しく夢のある窯業高校に期待してください・・・。